「VLOOKUP が #N/A でレポートが崩れた…」
「0 で割って #DIV/0! が大量発生した…」
こうした“見栄えの悪いエラー”を一瞬で退治できるのが IFERROR 関数。
本記事では 実データ＋数式＋出力結果 を示しながら、
日常業務で役立つ使い方をわかりやすく解説します。
1. IFERROR関数 ── エラーなら置き換え、正常ならそのまま
=IFERROR(式, 代替値)
| 引数 | 内容 | 必須 |
|---|
| 式 | 評価したい数式 | ✔ |
| 代替値 | 式がエラー時に返す値（文字列・数値・別式） | ✔ |
ポイント
- 代替値を省略すると エラー時は空白(“”) を返す
- ほぼすべてのエラータイプ（#N/A, #REF!, #DIV/0!, #VALUE! など）に対応
2. 基本例：0 で割るエラーを防ぐ
| 売上 (円) | 注文数 | 単価 (円) |
|---|
| 50,000 | 10 | 5,000 |
| 0 | 0 | #DIV/0! |
■ 改善前
=C2/B2
■ 改善後
=IFERROR(C2/B2, 0)
効果：エラーを 0 に置き換えて AVERAGE などの集計式を安定化。
3. 応用例：VLOOKUP + IFERROR で「該当なし」表示
| A列: 商品ID | B列: 価格 |
|---|
| A001 | 1,200 |
| A002 | 980 |
| A003 | 1,450 |
■ 改善後
=IFERROR(VLOOKUP(E2, A:B, 2, FALSE), "該当なし")
| 検索ID | 価格取得 改善後 |
|---|
| A002 | 980 |
| A004 | 該当なし |
効果：在庫マスタや顧客マスタ照合で 見やすいメッセージ を返せる。
4. 多数の式を一括ガード：ARRAYFORMULA と併用
=ARRAYFORMULA( IFERROR(VLOOKUP(E2:E, A:B, 2, FALSE), ""))
- E 列に検索 ID を追加するだけで結果列が自動拡張
- 未登録 ID 行には 空白を返し、フィルタやグラフに影響させない
5. 上級テクニック
| テクニック | 数式例 | 何が便利？ |
|---|
| IF＋IFERROR | =IF(A2="", "", IFERROR(VLOOKUP(A2, 範囲, 2, 0),"なし")) | 空白行は結果も空白に |
| エラー種類で処理分岐 | =IFERROR(式, IFERROR(式2,"別メッセージ")) | 代替式がまたエラーなら三段階対応 |
| #DIV/0! だけを 0 に | =IF(ISERROR(B2/A2),0,B2/A2) | 代替値ごとに制御可能 |
| QUERY 内で使う | =QUERY(データ,"select Col1, Col2/NULLIF(Col3,0) label Col2/NULLIF(Col3,0) ''") | NULLIF で 0→NULL に、集計時エラー回避 |
6. ビジネス活用シーン
| シーン | 使い方イメージ | 効果 |
|---|
| 営業：単価計算 | 売上÷数量 を IFERROR( ,0) | データ欠損時も KPI ダッシュボードが崩れない |
| 財務：比率計算 | 経費/売上 を IFERROR( , “” ) | 売上 0 の月を空欄表示 |
| マーケ：CVR 集計 | CV/クリック を IFERROR( , “-” ) | クリック 0 の行を「–」で可読化 |
| 在庫：入庫照合 | IFERROR(VLOOKUP(商品ID, マスタ, 2, 0),”未登録”) | 担当者が “未登録” 商品を即発見 |
| 人事：勤怠欠勤率 | 欠勤/所定 を IFERROR( ,0 ) | 所定 0 日の月を安全処理 |
7. よくある勘違い & 回避策
| 勘違い | 説明 |
|---|
| 代替値は必ず文字列 | 数値・式も可。0 や AVERAGE(...) でも OK |
| IFERROR で重くなる？ | 単純計算では影響軽微。重いのは VLOOKUP×数千行＋ARRAYFORMULA → 必要列だけに適用 |
| #N/A と #VALUE! を別メッセージにしたい | IFNA() は #N/A 専用。組み合わせるか IF(ISNA(...)) で分岐 |
8. まとめ & 早見表
| 目的 | 代表式 | キーワード |
|---|
| 0 で割るガード | =IFERROR(B2/A2,0) | #DIV/0!→0 |
| VLOOKUP 未登録処理 | =IFERROR(VLOOKUP(ID,範囲,2,0),"該当なし") | #N/A→メッセージ |
| 配列一括ガード | =ARRAYFORMULA(IFERROR(...,"")) | 空白スピル |
| ネステッド処理 | =IF(A2="", "", IFERROR(...)) | 空行無視＋エラー処理 |
IFERROR で“エラーメッセージ地獄”にサヨナラ！
レポートやダッシュボードの 信頼性・見栄え・可読性 が一気に向上します。
ぜひ今日からスプレッドシート業務に取り入れ、
エラーを味方に変えてデータ分析をスマートに進めてください。
