「売上表を金額の大きい順に並べたい」
「日付と担当者の 2 つの軸でソートしたい」
並べ替え(ソート)を関数で自動化すれば、シートを開くたびにボタンを押す必要はありません。
本記事では 実データ+数式+出力結果 を交えつつ、
SORT 関数の基本から多段ソート、動的ランキング までをまとめて解説。
さらに「フィルタビューやフィルタボタンを使わず、SORT 関数で並べ替えるメリット/デメリット」も整理しました。
1. SORT関数 ── 範囲を昇順・降順で整列
=SORT(範囲, [並べ替え列], [昇順/降順], …)
引数 | 内容 | 既定値 |
---|---|---|
範囲 | 並べ替え対象データ | 必須 |
並べ替え列 | 範囲内で何列目を軸にするか (1=左端) | 任意 |
昇順/降順 | TRUE =昇順 / FALSE =降順 | 任意 |
… | 2 番目以降の並べ替え条件(列番号と順序をペアで追加) | 任意 |
省略時は「左端列を昇順」
2. 基本例:売上を“高い順”で並べ替え
=SORT(A2:B4, 2, FALSE)
商品 | 売上(円) |
---|---|
ノートPC | 120,000 |
スマホ | 85,000 |
イヤホン | 15,000 |
3. 応用例①:日付→金額の多段ソート
=SORT(A2:C4, 1, TRUE, 3, FALSE)
日付 | 顧客 | 金額 |
---|---|---|
2025/05/01 | B社 | 120,000 |
2025/05/01 | A社 | 80,000 |
2025/05/02 | A社 | 90,000 |
4. 応用例②:FILTER × SORT で部門別ランキング
=SORT(
FILTER(A2:C5, A2:A5="営業"),
3, FALSE
)
5. フィルタ(ビュー)を使わずに SORT 関数を使う理由は?
観点 | SORT 関数を使うメリット | デメリット / フィルタの方が優れる点 |
---|---|---|
自動更新 | 新行・新列が追加されても式が即再計算し、常に最新順へ。 ダッシュボードや共有リンクに貼るときに便利。 | 「今だけ並べ替えたい」など一時的操作には向かない。 式を壊したくない場合はフィルタビューが安全。 |
共同編集 | 複数ユーザーでも並べ替え状態が固定=「誰かが並べ替えて見出しがズレる」事故を防げる。 | 並べ替え基準を変えたい時は数式編集が必須。 エンドユーザーが非エンジニアだと操作ハードル。 |
リードオンリー共有 | 閲覧権限ユーザーでもソート済み表を閲覧可能。 | ソート順を切り替えるインタラクティブ性は失われる。 |
計算式連携 | SORT 結果をさらに INDEX ・VLOOKUP ・QUERY へパイプ可。 | フィルタビューで並べ替えた結果は他式が参照しにくい。 |
可視性 | エラー行や空白行を事前に FILTER で除外 ➜ SORT で整列、1 本の式でレポートに貼れる。 | フィルタボタンで昇順⇔降順を“クリック一発”で変えたい場合は UI 操作の方が速い。 |
パフォーマンス | 数万行でも並べ替えがサーバー側計算なので意外に軽い。 | 複数の大規模 SORT を貼ると再計算でラグが生じる。 |
要点
- レポート・ダッシュボードなど「常に最新順」で見せたい表 → SORT 関数
- 一時的に見方を変える/ユーザーが自由に並べ替えたい表 → フィルタビューや列ソート
6. 上級テクニック
テクニック | 数式例 | 目的 |
---|---|---|
UNIQUE+SORT | =SORT(UNIQUE(顧客列)) | 重複なし名簿を昇順で |
SORTN で Top N | =SORTN(範囲, 10, 0, 3, FALSE) | 金額上位 10 件 |
カスタム順 | =SORT(範囲, MATCH(ランク列,{"高","中","低"},0), TRUE) | 任意ランキングで並べ替え |
IMPORTRANGE 直後 | =SORT(IMPORTRANGE(URL,"売上!A:D"),3,FALSE) | 外部データを最新順位付きで取得 |
7. よくあるエラー & 回避策
症状 / エラー | 原因 | 対処 |
---|---|---|
#REF! | スピル結果と隣接セル衝突 | 出力セルの右下方向を空ける |
空白が先頭に来る | 昇順で空白が最上位扱い | FILTER(範囲, LEN(列)>0) で空白除去後に SORT |
並べ替え列番号ミス | 列削除や挿入でずれる | COLUMN() 関数で動的列番号を算出 |
8. まとめ & 早見表
目的 | 代表式 | キーワード |
---|---|---|
1 列降順 | =SORT(A2:B, 2, FALSE) | 高→低 |
日付↑金額↓ | =SORT(A2:D, 1, TRUE, 4, FALSE) | 多段ソート |
Top N | =SORTN(A2:C, 5, 0, 3, FALSE) | ランキング |
動的部門ランク | =SORT(FILTER(範囲, 部門="営業"), 列, FALSE) | FILTER+SORT |
SORT 関数で「常に並んだ状態」をキープしよう
レポートやダッシュボード用に 自動整列 しておけば、
手動操作や並べ替え忘れのリスクを大幅削減!
ただし“都度ソートして眺めたい”用途ではフィルタビューとの使い分けが鍵です。