はじめに:インナーブランディングの課題と社内ポスターの価値
インナーブランディングを推進する中で、社員への認知や共感を高める施策は多岐にわたります。デジタルが主流の今、手間やコストのかかる「社内ポスター」をオフィスに掲示する価値はあるのでしょうか?この記事では、社内ポスターが果たす役割と、その文化形成について考察します。
社内ポスターは、従業員へのメッセージ伝達手段として幅広く活用されています。一般的には、企業理念やビジョンの浸透、安全意識の啓発、イベント告知、健康管理の呼びかけなどが多いです。例えば、トヨタ自動車では安全管理ポスターを掲示し、事故防止への意識を高めています。Googleは社内の価値観や企業文化を視覚的に伝えるポスターを掲示しています。
参考事例:
- トヨタの安全啓発ポスター
- Googleのオフィス文化
社内ポスターを見る文化が無い場合とある場合
ポスターを見る文化がある場合
一方、ポスターを見る文化が根付いていれば、情報共有や企業理念の浸透がスムーズに行えます。紙ならではの不変性があるからこそ、一度掲示されたポスターの印象を強く受け付けられた社員は、次に変わったポスターが掲示されたタイミングで変化にいち早く反応します。この反応が継続することで、自らが情報を取りに行く姿勢が育ち、コミュニケーションが活性化する可能性が高くあります。
社内ポスターを見る文化が無い場合
ポスターが掲示されていても、社員が見向きもしない状況では効果はほぼゼロです。掲示物が「ノイズ」として認識され、ポスターが存在する意味自体が失われます。スタイリッシュでオフィスデザインにこだわった会社の場合は、紙のポスター掲示物が景観を害するため利用しないという会社もあるかもしれません。その場合はポスターで届けたい価値を、ポスターという表現以外の表現方法で届けるべきかもしれません。
ポスターを見る文化を作る必要性
社内ポスターは「見る文化」を形成しなければ効果を発揮しきれません。そのため、社内ポスターを「見る文化」を醸成していくことがインナーブランディングを推進するうえで大事な要素の1つになります。デジタル化が進んでいても、目に見える場所に掲示することで無意識に情報が刷り込まれます。オフィス内で一貫したメッセージを発信し続けることや、同じ掲示場所で定期的に違うポスターへ変化させることで、企業理念や時々の取り組みの認知度が高まり、社員の一体感の醸成につながります。
インナーブランディングのための社内ポスターを見る文化の醸成方法
イベントやコミュニケーションの機会をポスター化
社内ポスターを「見る文化」を作るためには、まず社員が必ず参加するイベントや重要なコミュニケーションの機会をポスターにすることが効果的です。例えば以下のようなケースが考えられます。
- 社員総会のポスター
全社員参加の大規模イベントは、必ず認知される必要があります。ポスターを掲示することで、開催日程や目的を全員に伝え、参加意識を高められます。継続的なイベントであれば、都度ポスターのデザインやコンセプトを変更することでポスターへの期待感やポスターへの興味・関心を生み、インナーブランディングを推進できます。
- 季節イベントポスター
自主的な学びの場もポスターで周知すれば、参加者が増え、知識の共有やコミュニティ形成につながります。社員が、自分の会社が今何に力を入れてやっているのかを知る機会になるため、インナーブランディングを推進できます。
社内ポスターの作成機会を作るコンテンツ例
イベントや勉強会などの頻度が少なく、社内ポスターを作る機会が少ないというケースもございます。その場合は社内ポスターを作る機会を生み出すコンテンツ企画が重要となります。事例をご紹介いたします。
1,アンケートによる公募のポスターを作る
何かしらの名称を公募する、キャラクターやアイコンのデザインを公募するなど、あえて名称やキャラクター、アイコンなどを作るというプロセスを設け、そのアイディアの公募をポスターで行うことで、ポスター作成の機会を作ることが出来ます。また、公募という参加型の企画にすることで、ポスターにQRコードを載せるなどの工夫も可能となり、興味・関心を引くことでインナーブランディングに寄与します。
2,スポットの社内取り組みを行いポスターにする
なんでも良いとまでいかないまでも、ちょっとした社内レクリエーションの開催や勉強会、お茶会、協力者の募集など、一時的なイベントを企画、開催し、その際の告知をポスターで行うことで作成機会を生みだすことができます。
掲示場所の工夫
- エレベーター内やオフィス入口
全員が目にする場所に掲示することで自然と情報が目に入ります。オフィスによっては共有部分は利用NGの場合もあるので注意が必要です。
- 休憩室や社員食堂
リラックスしている状態で情報が入りやすく、内容が印象に残ります。
- 必ず通るセキュリティ錠がある扉の壁
必ず見るため、効果があります。故に、印刷した紙だけやや簡素な掲示にならないように額に入れるだったりラミネートをするだったり掲示の見栄えにはこだわりましょう。
結論:社内ポスターはインナーブランディングに寄与できるため、効果的に活用しよう
ポスターを見る文化が形成されれば、費用対効果以上に組織文化の醸成や社内コミュニケーションの活性化に寄与する可能性があります。手間やコストをかけた分、社員との一体感が強まり、インナーブランディングが加速するでしょう。是非、デジタルの流れの中でも、「あえてのポスター」でインナーブランディングの強化を検討してみましょう。